
ICUで学べる「全身を診る」力
ICU研修で得られる知識や経験について、研修医のN先生、K先生と、指導医に伺いました。
N先生: ICUでは、全身をくまなく診るスキルが身につきます。他の診療科だとその診療科に特有な臓器に重点を置きがちですが、ICUではカルテやカンファレンスを通して、バイシステム(各臓器系)で患者さんの全身状態を評価する力が身につきます。

K先生: 他の診療科を回っている時にICUに主科の患者さんをお願いした経験もあるのですが、ICUでは主科では軽視しがちな栄養や排便といった細かいところまで、多職種で連携しながら調整していることに驚きました。主科の意向を汲みつつ、ICUとしてどう関わっていくかを学ぶことができます。
指導医:当院のICUでは、午前中に時間をかけて多職種回診を行っており、研修医の先生には必ず1~2人の患者さんを担当してもらいます。自分でアセスメントを行い、治療方針を決定していく流れを身につけてほしいと思っています。研修が始まる頃は難しくても、1ヶ月のローテーションが終わる頃には皆さんとても頼もしくなっていて、その成長を見るのが嬉しいですね。
墨東病院の強みと魅力
多様な症例を経験できる環境
指導医:当院のICUは心臓外科の術後患者さんが多いですが、脳神経外科や循環器科、その他の内科・外科など、まんべんなく多様な疾患を診ることができます。 研修医の先生にも患者さんを担当してもらいますが、皆さん、循環器や感染症など、様々な科の患者さんを診ています。
N先生: 病院全体として、大学病院並みに診療科が揃っているため、様々な疾患を経験できます。急性期から退院直前までの治療を見届けられるのは、規模が大きい病院ならではの強みだと思います。

K先生: 診療科が揃っているだけでなく、1ヶ月単位でローテーションできるのがありがたいです。特に私は小児科志望なので、NICU(新生児集中治療室)のローテーションがあるのも魅力的でした。また、先生方がとても協力的で、特にICUではレクチャーも多く、教育面も充実しています。
研修医の成長と指導のポイント
指導医:指導する上で大事にしているのは、「自分で考えてやってみる」ことです。研修医の先生が「何を考え、この患者さんにどうしようと思ったのか」を言語化してもらうようにしています。ローテーションの期間が終わる頃には、アセスメント力がぐんと上がっていて、頼もしく感じます。
一般病棟との違いは「時間の感覚」
指導医:一般病棟とICUの最も大きな違いは、時間の感覚です。ICUの患者さんは時間単位で全身状態が変化するため、治療の効果を比較的短時間で評価しやすいのが特徴です。自分が施した治療が患者さんにどう影響したのかをすぐに確認できるのは、ICUならではの面白さだと思います。
N先生: ICUでは重症な患者さんが多く、状態の変化がダイナミックです。自分の判断一つで患者さんの状態が悪化する危険と隣り合わせですが、患者さんにとって最善の治療を考え、様々なデータや検査を組み合わせていく「トライアンドエラー」が楽しいです。

K先生: まだ十分にはできていませんが、エコーの重要性を強く感じています。エコーの所見から治療方針が変わることも多く、自分も介入できるようになりたいです。
困った時の相談体制
N先生: 異常を見つけた時、他の病院では「研修医が言っている」と軽く受け流された経験がありましたが、当院のICUは全くそんなことはありません。フットワーク軽く、「一緒に患者さんを見に行こう」と足を運んでくださいます。
K先生: ICUでは病態が秒単位で進むので、分からないことがあったらその場で聞くように心がけています。上の先生方もすぐに教えてくださるので、病態をしっかり理解し、追いついていくことができます。
指導医:研修医の先生方が異常を見つけてくれて、助けられることもたくさんあります。集中治療科のスタッフは、救急や麻酔科、腎臓内科、感染症、血液内科など多様なバックグラウンドを持つ医師が集まっています。お互いに強みを持ち寄って相談しながら診療できるのが、当科の強みです。
研修医生活のリアル
N先生: 学生時代は本でしか学んでいなかったことが、研修では目の前に現実として現れます。毎日予想外のことが起こり、最初は大変でしたが、先生方が優しく教えてくださるのでとても充実した研修生活です。
K先生: 想像していたよりONとOFFがはっきりしていると感じます。毎日激務というわけではなく、自分の時間や復習の時間をしっかり確保できるのは大きな魅力です。

墨東病院を目指す皆さんへメッセージ
K先生: 正直、想像していたよりもずっと良い病院です。先生方は優しいですし、教育体制も充実しています。同期の仲も良く、Wi-Fiが繋がるなど、どんどん働きやすい環境に改善されています。
N先生: 急性期医療を間近で経験し、治療を任せてもらえる最高の環境です。地域医療を支えているという実感もあり、「縁の下の力持ち」のような温かさを感じています。

指導医:研修医の先生方は皆、楽しそうに働き、よく勉強しています。ONとOFFがはっきりしているので、仕事だけでなくプライベートも充実できるでしょう。ICUの知識や手技はどの科に進んでも役立つので、ぜひ研修で回ってほしいと思います。