外部研究機関との連携EXTERNAL AGENCY

東京情報大学との連携について

多職種連携の向上に向けた組織学習について

2024年度から始まる働き方改革では、医療者は限られた労働時間の中で医療の質を維持してゆく必要があり、これまで以上に効率的な働き方が求められます。

現在、当院では働き方改革への解決策として、医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)と多職種連携を二本柱として取り組んでおります。このうち、多職種連携について2021年11月から2022年1月までにかけて全職員を対象に実施したウェブアンケート調査で、職種間コミュニケーションの重要性が改めて浮き彫りとなりました。

従来、医療分野では職種ごとのテクニカルな教育が重視され、職種横断的な教育の機会は極めてまれでした。特に、職種に関わらず多職種連携で求められるノンテクニカルスキルは、近年ようやくその重要性が注目されるようになりました。

ただ、多職種連携組織学習のゴールドスタンダードはまだ確立しておらず、各医療機関は手探りで行っている状況です。

当院では、多職種継続学習モデル研究において 国内の第一人者でおられる東京情報大学の松下博宣教授を招聘し、院内でリーダーシップを期待される各職種の職員を対象とした院内組織学習を2023年11月から開始しました。院内組織学習は、①組織学習プロセス、②組織風土&リーダーシップ、③人財開発プロセス、④ネットワーク&パートナーシップの4セッションからなり、今年度は①と②について取り組むこととなりました。

次年度以降も組織学習を継続しつつ、組織全体での多職種連携の向上を図ってゆく予定です。

組織学習の記録(院内組織学習セミナー)

2025年2月

TQMシステム思考~5S-KAIZEN-TQM

2023年度から始まった多職種組織学習は、本年1月から第4タームへ入りました。

東京情報大学の松下教授を講師として毎回2025名の院内職員が参加するこのセミナー、講義とグループワークを交えながら白熱したセッションとなっています。

意外に感じられるかもしれませんが、医療者は普段同じ院内で働いていても他職種と膝をつきあわせて話し合う機会はなかなかないものです。

このセミナーは、従来の職種ごとあるいは部門ごとのセクショナリズムからの脱却をめざし、部門横断的な多職種連携の強化を目的としています。

そのため、普段は話す機会の少ない他職種との貴重なコミュニケーションの場になっており、実際にお互いに多くの学びを得ています。

これまでこのセミナーでは、社会的感情学習をはじめ、組織風土とリーダーシップ、ウェルビーイングを学んできました。

今タームでは、これまで学んできたことをより実臨床で実践できるように、“システム思考~5S-KAIZEN-TQM”を学びました。

このうち、5S活動とは整理、整頓、清掃、清潔、しつけの頭文字をとったもので、職場環境を改善して職場の効率化や生産性を向上するのが目的です。

医療現場では、働き方改革により医療の効率化が昨今ますます求められるようになっており、今後はモノの5Sだけではなく情報の5Sも重要になってきます。

KAIZENとは日本が誇るトヨタ自動車から生まれた経営手法で、医療現場においても実践が可能です。

具体的には、5S活動による業務環境の改善をもとに医療DX(デジタルフォーメーション)を活用して業務の可視化や客観的評価が可能となり、業務内容の改善や医療の質や安全の向上へつなげられることが期待されています。

TQM(Total Quality Management )は病院全体で医療の質や安全性を継続的に改善する経営手法であり、患者・家族満足度を向上させるだけではなく、医療コストの削減や業務効率化へ寄与することが目的です。

現在自施設では、松下先生から学んだ業務環境の改善 (5S活動)と業務内容の改善(KAIZEN活動)を活かし、多職種チームによる6つのプロジェクトが進行中です。

当院では、松下先生のご指導も頂きながら多職種チームによるTQM活動を通じて病院全体で医療の質や安全の向上を目指しています。

2025年1月

ウェルビーイング組織風土の醸成

東京情報大学の松下博宣教授をお招きした院内組織学習のワークショップが今年度も始まりました。

昨年度の組織学習プロセス(社会的感情学習)、組織風土とリーダーシップ、に続く第3弾です。

2024年4月に始まった医療者の働き方改革は、医療者個人のQOLは向上させましたが、その反面現場の医療者不足に拍車をかけて院内医療安全を低下させるリスクを高めました。

この深刻な状況をいかに乗り越えてゆくか、現在は各医療機関ともに手探りの状況だと思いますが、当院では足立院長のもと“多職種連携の強化”と“医療DX”で乗り越えようと取り組んでいます。

とりわけ、墨東人財育成センターでは、多職種連携の強化において力を入れています。これまで、医療者への卒後教育は職種毎、部門毎、部署毎と縦割りで行われてきました。もちろん、このような専門性の高い教育は引き続き必要ですが、今後多職種連携を強化してゆくためには、職種を超えた多職種間での教育の機会も増やしてゆく必要があります。

そこで、今回トピックとして取り上げたのが“ウェルビーイング、組織風土の醸成”です。

ウェルビーイングとば、“身体的・精神的・社会的に健康で幸福な生活を送れる状態”です。

患者さんへ接することの多い医療者は、患者さんのウェルビーイングをサポートするためには、医療者自身もウェルビーイングを達成しなければなりません。

医療者のウェルビーイングを向上させる要素には様々ありますが、この中でも特に重要とされる“ポジティブ感情”の有用性を講義で学びました。

さらに、このポジティブ感情をどのように職場や家庭で活用できるかを実際に参加者同士のディスカッションを通じて学びました。

講義ではうつむきがちだった参加者の方々も、ディスカッションでは活き活きと話している姿をみて、普段からこうした活き活きとした会話こそがポジティブ感情さらにはウェルビーイングへつながることを実感しました。

また、ポジティブ感情だけではなくネガティブ感情についても話し合う機会がありました。参加者からの率直な気持ちを聞きながら、時につらいことを同僚へ打ち明けることの重要性も感じました。

普段共に働くことのない他職種の医療者と出会い、またなかなか話し合うことのないポジティブ・ネガティブ感情について話す機会もあり、実りの多いワークショップとなりました。

2024年1月

組織風土とリーダーシップ

今回は、組織風土とリーダーシップについて学びました。

リーダーシップと言えばこれまで支配型リーダーが主流でしたが、働き方改革で今後は多職種連携によるコラボレーティブ・リーダーシップが求められます。これまで馴染みのない概念に初めは戸惑いがちの受講生でしたが、講義と少人数制のワークショップ後はみな腑に落ちた様子でした。

多職種連携プロジェクト中間発表
院内多職種連携の強化を目的に始まった人財開発プロジェクト、今年度は多職種で構成される6つのプロジェクトチームが始動しました。
今週1週間はその中間発表会で、本日は人財育成センターのアドバイザリーである東京情報大学の松下博宣先生が来院されました。
今後、多職種連携の取り組みは当院の発展向上に不可欠であり、今回の活動を通じて各職員のモチベーションが上がるとても良い機会となりました。
最終更新日:2025年03月17日