多職種研修MEDICAL TRAINING
研修・勉強会記録
2024年度
2025年3月
看護職員研修記録
マネジメント「BSC最終発表会」

今年度、各部署で『挑戦』した取り組み成果を発表しました。
主任・副看護師長・師長が活発にディスカッションし、お互いが刺激され、次年度に向け更に部署の改善に意欲を燃やしています。
エキスパート「皮膚・排泄ケア」

次代を担う看護師が皮膚・排泄ケアのスペシャリストを目指して、皮膚・排泄ケア特定認定看護師から演習を通して学んでいます。
基礎レベルⅠ「事例発表会」
看護師になって1年、事例検討を行う事で自身の「看護力の成長」を実感できました。
副院長・看護部長、副看護部長、看護師長、副看護師長、主任、指導者、同期に発表を聴いてもらうため、それぞれの部署で練習を繰り返し、先輩Ns.も応援に駆け付け立派に発表することができました。もう1人前の看護師です!



緩和ケア講習会
先日がん診療に携わる医師に対する今年度2回目の緩和ケア研修を開催しました。
当院では年2回、緩和ケア研修会を実施しております。今回は院内から12名、院外から7名の合計19名が参加しました。医師以外に、看護師、心理士も参加してくれました。
前半はe-learningの復習から始まり、副院長の宮本先生に講義していただきました。
その後、末期がんの告知を行うロールプレイングを通して、コミュニケーションについて学びました。3人組となり、医師/看護師/心理士役、患者役、評価役を1回ずつ演じました。初期研修医の中には、まだ末期がんの告知の経験がない医師もおり、良い練習になりました。経験がある医師やメディカルスタッフも、患者役を本気で演じることで、新たな気づきがあったのではないでしょうか。

後半は、メディカルソーシャルワーカーからがん患者等への支援について紹介していただいた後、実際にがん治療を経験した方に体験談をお話ししていただきました。治療中の不安や復職時に困ったことなど生の声を聴くことができて、とても有意義な時間でした。これからのケアに活かしていきたいと思います。
その後、症例を通して、全人的苦痛に対する緩和ケアについてと、療養場所の選択についてアイディアを出し合いました。当院はワールドカフェ方式でこのセッションを行なっており、最初は緊張も見られましたが、席替えを繰り返す中で、リラックスした雰囲気で対話を楽しめているように見えました。
最後に、緩和ケアを在宅クリニックで実践され全国的にも知られるわたクリニックの渡邉淳子理事長から、在宅での経験について、ご講演いただきました。スタッフは毎回拝聴していますが「こんな先生に看取ってほしい」と毎回しみじみと思います。初心を思い出させてくれる、心が打たれる講演を聞き、研修会は修了しました。
基本的な緩和ケアは全ての医師が修得すべき知識・技術・態度です。ぜひ今日学んだことを、日々の臨床に活かしていただきたいと思います。他職種の参加が望ましいとされながらも医師の参加が多い中で、今回参加してくださったメディカルスタッフの皆様ありがとうございました。
ご講演いただいた患者様・渡邉先生、ありがとうございました。
各種学会に参加、発表してきました
1 東京都福祉保健医療学会(12月19日)
東京都社会福祉保健研修センターで開催された学会で当院栄養科の管理栄養士が口頭発表を行いました。演題は「管理栄養士のICU早期栄養介入体制の確立と取組状況」です。当発表にて、医学・医療分野の優秀賞をいただきました。

当院ICUでは集中治療科・主科医師連携体制のもと、コメディカルも積極的に関わる機会をいただき、多職種でのチーム介入が強化されてきました。この発表では、早期栄養介入の体制整備として、病棟専任の確保のための栄養科内の業務の整理・病棟のニーズ調査・様式の作成について述べ、実際の取組として算定開始後の早期栄養介入の算定件数・体制整備前後の介入や在室時間の比較および管理栄養士の役割、体制確立による各所のメリットと今後の課題について報告しました。
2 第28回日本病態栄養学会年次学術集会(1月17~19日(京都))
当院栄養科から口頭演題、ポスター演題を発表しました。
- 口頭発表では「ペースト食まで提供可能な餅の開発」のテーマで、嚥下調整食学会分類2021の2-1まで提供可能な酵素剤を使用した付着性の少ない餅を調製し、提供食種の幅を広げたことについて発表しました。
- ポスター発表では「陣痛発来中産婦のための「陣痛対応食」提供の取組み」として、消化器症状や体勢を考慮した食品・形態の「単品食セット」の提供と満足度の調査結果について発表しました。
2演題ともに多職種で連携した食事サービスの向上がテーマでしたが、当日は活発な質疑応答が繰り広げられ関心の高さがうかがえました。


3 第40回日本栄養治療学会年次学術集会(2月14~15日(横浜))
「当院ICU入室患者における栄養投与の傾向と今後の課題」の演題で、入室後の栄養開始時間や投与経路、入室後48時間-7日目–退院時の栄養投与量などの実態と退室後も含めた連携の課題についてポスター発表しました。
今後は調査数や評価項目を深めていきたいと思います。

2025年1月
看護職員研修風景
熟練した看護職員がいつまでも素敵に輝きながら働き続けるために、看護職としてのセカンドキャリアを考える研修を行いました。実際に定年後、これまで培ってきた知識や経験を活かしつつ、新たなキャリアで人生を充実させている先輩看護師のお話と、雇用形態や給与の話に、みんな熱心に耳を傾けていました。
施設間交流研修で得られた他施設の良いところを看護管理者で情報共有し、患者サービスの向上や働きやすい職場作りの参考にしています。
2024年12月
成人の心肺蘇生法のように出生時を中心とした新生児を対象とする蘇生法があります。
日本においては、「JRC蘇生ガイドライン2020」に基づくNeonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation(NCPR)が用いられ、日本周産期・新生児医学主催の新生児蘇生法普及事業からライセンスを得ることができます。
病院内・外部の周産期医療者を対象に新生児蘇生普及事業公認「新生児蘇生法:専門コース・スキルアップコース」を開催しています。
区東部地域の周産期医療者を対象とした講習会は年2回、開催しています。
講習会開催の相談も受け付けております。

- 実際の蘇生場面に立ち会ったことがなかったけど受講後に蘇生場面に遭遇しました。日頃からのトレーニングが重要だと感じました。
- 興味がある講習だった。実際には蘇生をやったことがなかったので受講できて良かった。
- 楽しみながら学ぶことができました。
- ブリーフィング(事前打ち合わせ)の大切さを学びました。
インストラクター目指して頑張ります。 - まじめだけど和やかな雰囲気で緊張しすぎず受講できました。
担当:新生児集中ケア認定看護師 墨東病院NCPRインストラクター一同

多職種連携に尽力しており、NICU/GCUの赤ちゃん病棟にも介入しております。左はNICU看護師からNIDCAP学習会講義をうけている場面です。

毎月の科内勉強会では、学会発表した論文の発表や、各自でテーマを決めて講義する等、個々の研鑽にも努めております。
院内Moodleでの自己研鑽用資料にも協力しております。
超急性期病院 墨東をめざして
「認知症があっても身体疾患の治療を安心して受けたい!」を実現するために、医師、認知症看護認定看護師、社会福祉士、薬剤師、病棟看護師がチームとなってケアを行っています。
担当:認知症看護認定看護師
2024年11月


2024年10月


2024年9月


2024年8月





2024年5月



2023年度
2024年3月

全国30施設合同で毎週火曜日に行われている多施設ジャーナルクラブ、今週は当院救急科シニアの詫摩先生が発表してくれました。
今回のお題は、“Indivisualised, short-course antibiotic treatment versus usual long-course treatment for ventilator-associated pneumonia (REGARD-VAP): a multicentre, individually randomized, open-label, non-inferiority trial” (Lancet Respir Med 2024; S2213-2600(23)00418-6)です。
人工呼吸器関連肺炎(VAP)の診断は難しく、これまで抗菌薬過剰投与による抗菌薬耐性が懸念され、今回VAPに対する抗菌薬の投与期間を短縮できないかどうか検討されました。
本研究におけるPICOは、次のとおりです。
P:VAP診断基準を満たしたICUの成人患者
I: 個別短期治療群
C:通常治療群
O:60日後の死亡と肺炎再発の複合エンドポイント
本研究は、タイをメインとした東南アジア39のICUで行われ、18歳以上でCDCのVAP診断基準を満たし、重症疾患や7日間以上の抗菌薬投与がなく7日以内に解熱もしくはショックのない461名が無作為化されました。
抗菌薬の総投与期間は、個別短期治療群(n=232)では7日間以内、通常治療群(n=229)では8日以上と設定されました。
主要アウトカムである60日以内の死亡または肺炎再発の複合エンドポイントのうち、後者の診断は集中治療医、感染症医、呼吸器内科医の2名以上の同意で行われました。
本研究では、非劣性マージンを12%と設定し、非劣性が証明された場合に優越性を解析しました。
主要アウトカムは、個別短期治療群 vs 通常治療群でITT解析、per protocol解析いずれにおいても41% vs 44%と非劣性を満たしました。そのため、優越性試験を実施しましたが、優越性は示せませんでした。
副次アウトカムでは、個別短期間治療群で抗菌薬の投与期間が5.2日間短縮された一方、両群間で入院期間やICU滞在期間に有意差はなく、通常治療群で腎機能障害を初めとする薬剤副作用が多く見られました。なお、サブグループ解析ではいずれも両群間に有意差は認めませんでした。
上記結果から、個別短期治療群が(通常治療群と比較し)60日死亡率と肺炎再発率において非劣性を示したのと同時に抗菌薬による副作用を減らすことが示されました。
また、抗菌薬の中止基準として体温や血圧と行った簡便な指標であることから、VAPが蔓延する低中所得国においても実践可能で指標となりうることが示唆されました。
その一方で、本研究の問題点として肺炎の再発単独の評価が不明であること、アンチバイオグラムや抗菌薬の具体的なレジメンの記載がないこと、VAPまでの気管挿管期間が14日間と長いことが、ジャーナルクラブ内でディスカッションされました。
本研究を通じて、臨床経過のよいVAPに対しては抗菌薬の投与期間を短縮できる可能性が示されましたが、従来から問題となっているブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に対しては 引き続き投与期間の検討が必要であると考えられました。
【牧野集中治療科部長からコメント】
詫摩先生は明るいムードメーカーでありながら、発表前はそわそわしてどこか心配性な 一面もみせるお茶目な先生で、みなから愛されています。
将来は外傷救急医を目指しているとのこと、ぜひこれからも頑張って下さい!
2024年2月

先日行われた第19回東京都福祉保健医療学会において、当院ICU所属の加藤建吾診療看護師(NP)がみごと看護分野最優秀賞を受賞しました。
その風貌やキャラクターで皆から愛され、医療の面においても既に大きな信頼を得ている加藤診療看護師ですが、今回新たに大きな勲章を手に入れることができました。
今後の活躍が楽しみな若きリーダーですが、引き続き皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。

2023年12月

毎週火曜日に全国30施設がウェブ上で最新の医学論文を批判的吟味する「JSEPTIC多施設ジャーナルクラブ」において、当院集中治療フェローである上石医師が発表してくれました。
今回のお題は、ARDSの発症リスクがある外傷患者に対し"Sigh ventilationは臨床転帰を改善するか"でした(The SiVent Randomized Clinical Trial JAMA 2023;330(20):1982-90)。
読者の皆様は、“Sigh ventilation“をご存じでしょうか?
“sigh”で調べたところ“ため息“という和訳が出てきたので、“sigh ventilation“はさながら“ため息(人工)呼吸“といった意味になるでしょうか?
ARDSの病態生理学では、不適切に低いPEEPで生じる無気肺から生じるAtelectraumaと肺胞の過膨張から生じるVolutraumaがその機序としてよく知られていますが、肺サーファクトの減少がその発症機序へ関与していることはあまり知られていません。
肺サーファクタントは、一定の換気量で人工呼吸を続けていると不活化されて肺胞が虚脱し無気肺(Atelectrauma)からARDSへ至るとされています。
Sigh ventilation(PEEPを増やす)を定期的に行うと、II型肺胞上皮細胞が刺激されて肺サーファクタントが増加し、Atelectraumaの予防が期待されています。
これまでの複数の先行研究では、ARDSに対する短期間のSigh ventilationが酸素化と肺コンプライアンスを改善し、その安全性も確認されました。
今回の研究では、P:人工呼吸管理を要する外傷患者を対象に、I: 通常の人工呼吸管理に加えてSigh ventilationを行った患者を介入群として、C:通常の人工呼吸管理のみを実施した患者を対照群として、O: Ventilator free daysを主要アウトカムと設定されました。
本研究は、米国国防総省の資金提供の下、米国15施設の外傷センターで2016年4月~2022年9月に行われた多施設非盲検無作為化試験です。
外傷で入院した患者のうちARDSの危険因子(①外傷性脳損傷、②1カ所以上の長管骨骨折、③ショック、④肺挫傷、⑤治療開始後24時間以内に血液製剤を6単位以上投与)のいずれかを認めた患者が対象となりました。
対象患者は、人工呼吸管理開始後24時間以内に介入が行われ、介入群ではSigh ventilationとして6分間に1回、5秒間のSigh volume(プラトー圧が35cmH2Oになる換気量)が呼吸療法士の監視下で行われました。
サンプルサイズは、先行研究結果から当初916名と設定しましたが、初回中間解析から544名に下方修正され、主要アウトカムであるVentilator free daysはWilcoxonの順位和検定で解析しました。
5,753名の組み入れ患者のうち524名(介入群261名と対照群263名)が割付けられ、最終的に介入群259名と対照群261名が主要解析へ組み込まれました。
結果は、対象患者の背景に両群間の差はなく、平均年齢は44歳、75%が男性、リスク因子は60%が頭部外傷、41%が肺挫傷、36%が輸血、31%がショック、組み入れ時のP/Fは350、初回胸部CTで70%は異常所見なし、でした。
主要アウトカムであるVentilator free daysは介入群 vs 対照群で18.4 (IQR 7.0-25.2) vs 16.1 (IQR 1.1-24.4) [P=0.08]で両群間に有意差を認めませんでした。
副次アウトカムでは、介入群で28日死亡率が低い傾向 [介入群 vs 対照群: 11.6% vs 17.6%; OR: 0.61(95%CI, 0.37-1.00); P=0.05]だったものの、それ以外のICU free daysや死亡までの日数、合併症、死因、有害事象のアウトカムは両群間に有意差を認めず、サブグループ解析でも有意差を認めませんでした。
筆者らは、Discussionで主要アウトカムであるVentilator free daysに有意差が出なかった理由の一つとして統計学的解析で競合リスク法ではなく、従来のWilcoxon順位和検定を用いたことを挙げました。
また、Sigh ventilationのメリットとしてrecruit maneuverと比較し高い気道内圧の時間が少ないことで低血圧(や気胸などの肺損傷)を減らせることを指摘しました。
本研究の限界は、動脈血液ガスや画像検査の評価項目としていないこと、外傷患者に限定しておりARDS発症リスクも低い患者群であったこと、盲検化しておらず主要アウトカムの因子となる抜管タイミングは医療者に左右されること、などでした。
以上の結果から本研究の結論は、“ARDS 発症危険因子を有する人工呼吸を要する外傷患者においてSigh ventilation を追加しても VFDs は有意に増加しなかった副次アウトカムの結果からは忍容性が高く、臨床転帰を改善する可能性は示唆された”でした。
本研究の内的妥当性は、抜管を決定する医療者が非盲検化されているために情報バイアスがあること、研究資金の提供が途中で打ち切られて目標対象数へ達しなかったこと 、外的妥当性としては日本人を含むアジア人種が1%と少なく性別差も異なること、人工呼吸器が限られていること、などから内的にも外的にも妥当性に疑問が残る研究でした。
【牧野集中治療科部長からコメント】
今回発表してくれた上石先生は、見た目のとおり(?)ガッツのあるラガーマンで、ハキハキとした明るい性格と仕事へ熱心に取り組む姿から、スタッフにも愛されているフェローです。
今後も、One for all , All for oneの精神で若い力を存分に発揮し、ICUを盛り上げていってください!
墨東病院では高齢多死社会を迎えるにあたって、病床管理の効率化とデータに基づくタイムリーな人員采配を行っていくため、今年度コマンドセンターを導入しました。そこで、DXの基礎知識やデジタルツールの活用などに関する知識を身につけ、デジタルを用いたマネジメントができる人材の育成に取り組んでいます。
どのようなデータを可視化したら、業務効率化に繋げられるのかみんなで様々なアイデアが出され、活発な意見交換が行われました。