

麻酔科では、3名ほどの初期臨床研修医が2ヶ月間のローテーションを行います。
初期研修医の主な仕事は大きく次の4つに分けられます。
【手術前日の準備】【手術当日の準備】【手術開始前〜手術中の麻酔管理】【手術翌日の回診】です。
まず、手術前日には患者の状態を把握したうえで手術当日の朝の内服薬の指示や、手術前の飲食の指示、さらには手術で用いる麻薬のオーダーを行います。
また、実際に患者さんのもとへ行き診察を行います。
手術当日の朝には人工呼吸器の準備と麻酔薬の準備を行います。
人工呼吸器が適切に動作するかを確認し、当日使う予定の麻酔薬や気管挿管等に必要な器材の準備をします。
手術開始前には、朝の1件目の手術の場合には、点滴のための静脈路の確保(ルート確保)や、持続的な血圧のモニタリングや頻回の動脈採血のための動脈ライン(A-line)の確保を行うことが多いです。
また、全身麻酔・気管挿管で行う手術の場合には、鎮静・鎮痛・筋弛緩により患者さんが眠り入ったあと、マスク換気を行い呼吸を補助し、血中の酸素分圧を高めてから、気管挿管を行います。
手術中においては、適切なバイタルが維持され、安全・安心に手術が行われるように鎮痛麻薬や昇圧薬、筋弛緩薬等を用いて麻酔管理が行います。
手術翌日の回診では、麻酔から覚醒後の嘔気やその他の合併症の確認、創部の痛みなどを問診します。
私自身は外科系志望のため、これまで手術を見ている際には、手技や術式などにばかり注目して手術を見てきました。しかし外科医が手術に集中できるためには麻酔科医を含めた術野の周囲の人たちの支えが非常に重要になると改めて感じました。
加えて、手術当日を迎えるまでの期間でも、主科のみならず麻酔科を含めた他科の医師、さらには他の医療職の人たちの仕事によって支えられていることが理解できました。
そして、一日に多くの手術が行われているのは、手術終了後に元通りの形に効率的かつ迅速に清掃・準備してくださるスタッフのおかげであることもよく分かりました。それから、それぞれの手術を各オペ室に素早く割り振るコーディネーターの仕事の上にも成り立っていることが実感できました。
麻酔科の一員としてオペ室やその周囲を眺めると、これまでとは違った視点で新たな気づきがあると思います。我々初期研修医はおよそ2ヶ月おきに診療科をローテーションしますが、それぞれの立場からしか見えないことに目を向けながら、多くのことを吸収していけたらいいなと感じました。