特定行為研修SPECIFIC CONDUCT TRAINING
研修記録
2024年度 特定行為研修
2024年11月
今回は、症例を通して創傷管理に役立つ講義を受けました。
DESING-R®2020について
褥瘡評価としては、日本褥瘡学会が開発した褥瘡の重症度と治癒課程を評価するスケールである、DESING-R®2020を使用します。
DESING-R®2020は、
- 主観が入らず客観的に褥瘡の重症化を評価できる
- 褥瘡の治癒課程を数量化することで、定量的に比較評価できる
- 各項目を点数化して評価する
- 重症度の低い項目を小文字で、重症度の高い項目を大文字で表す
- 評価の合計点数が高いほど褥瘡の重症度が高い
といった特徴を有し、治癒課程を定量的に比較評価できるスケールです。
臨床現場でも使用しており、褥瘡の評価の基準となっています。
NPWT(局所陰圧閉鎖療法)について
治りにくい創傷部位に対して、専用の保護剤で創部を覆い陰圧にして治癒を早める治療法です。創部にスポンジやフォーム材を当て、フィルムで密封して吸引措置で陰圧をかけるため、正確に密封できないと、リークになり陰圧ができないことを学びました。また、機器の陰圧設定が必要なため、適切な値の設定には専門的知識が必要です。
局所陰圧閉鎖療法が行える期間は、保険適応によって3週間から4週間です。診療報酬の改定により在宅医療での処置も可能になりました。
壊死組織の除去(デブリードマン)について
壊死組織の除去(デブリードマン)とは、創部の治癒を早めるために壊死した組織を専用器具で取り除く処置です。一般に閉鎖性ドレッシング(ハイドロコロイド材など)を用いて自己融解作用を利用する方法、機械的方法(wet-to-dryドレッシング法、高圧洗浄、水治療法、超音波洗浄など)、蛋白分解酵素(ブロメライン軟膏など)による方法、外科的方法、生物学的方法があります。
デブリードマンでは、壊死した組織を除去する高度な技術やドレッシング材の選択も重要ですが、病態に応じた適切な創傷ケアを実践することで、早期回復と重症化予防が最優先されます。
創傷管理関連は、より専門的な知識や高い技術が求められる専門的領域のため、研修の中で学んだ臨床推論や病態判断を活用し、これまでよりも実践力の高い創傷ケアを提供できることを目指しています。
2024年10月
特定行為研修「ろう孔管理関連」を学ぶ
今年度から開講した新しい区分の学習が始まりました。高い知識と技術が必要な、専門的領域です。
解剖学から組織の各器官の働きを学び、食物を吸収してから消化にいたるまでの過程を再確認しました。
研修生の声
- 正常な解剖生理学を学ぶ事は基本であり、異常の早期発見にもつながると思います
ろう孔関連では臨床でもなかなか関りがないため、扱い方や管理方法、清潔保持など奥の深い学習ができて分かりやすかったと好評でした。
研修を通して、実践的な理解力や思考力及び、高度かつ専門的な知識が、技術の向上を図るため、特定行為についての理解も深まりました。
研修生の声
- リアルな画像で、実践を想定したイメージがわいてきました
2024年8月
区分別科目が始まりました
いよいよ8月から区分別科目の学習が始まり、より専門的な領域に突入しました。今回は、「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連」の演習風景を紹介します。
人工呼吸器は、患者に合わせた細かい設定が必要です。研修生の身長や体重をもとに計算し、呼吸回数や1回換気量を求め設定を行いました。
喘息患者の症例では、人工呼吸器の設定を行い吸ってみましたが、苦しくて呼吸がうまくできませんでした。
体の大きさや病態によって呼吸器の設定が異なるため、より深い知識が求められます。
研修生の声
- 呼吸器のグラフィックモニターを、詳しく知ることができて勉強になりました。
- 呼吸器の設定を行う時に、グラフィックモニターの波形を見ながら設定すると調節がしやすかったです。
- 身長と体重から一回換気量を計算した時に、意外と量が少ないことに驚きました。
研修生同士のディスカッションは、学びを深めることはもちろんですが、お互いに励まし合い、楽しく笑いの絶えない有意義な場となっています。経験豊富な医師や診療看護師とともに、臨床で実践に活かせる研修を今後も進めていきます!
2024年7月
専門知識を学ぶ
5月から始まった共通科目の学習も、残りわずかとなりました。
7月は、当院のコメディカルから、症例を通した臨床推論に役立つ内容の講義を受けました。
【薬剤科】相互作用やピットホールについて
参加者の声
eラーニングでなかなか理解できなかった内容をわかりやすく説明してもらえました
【検査科】検査データの見方について
参加者の声
検体の取り扱い方から看護師がみるべき採血データのポイントまで、日常業務にも役立つ内容でした
【放射線科】各種画像検査の見方やデバイスについて
参加者の声
見たい部分だけを見るのではなく、視野を広くして他に問題がないか注意深く観察をしなければならないことを学びました
専門家からの最新の知識や経験を直接聞く機会がなかったため、研修生からも「勉強になった!」と好評でした。
特定行為を実践するうえで、今回学んだ知識は非常に重要です。
当院の特定行為研修では、各コメディカルからの協力を得て専門的な知識をより深く学ぶことができます。
研修を通して、他職種と良好なコミュニケーションも築くことができ、お互いに特定行為についての理解も深まりました。
2024年6月
特定行為研修「フィジカルアセスメント」
5月から特定行為研修第2期生の、本格的な学習が始まりました。
6月のフィジカルアセスメントの演習では、主訴をもとに問診・フィジカルアセスメントを行い、疾患の予測と必要な検査までの思考過程を学びました。
研修生同士でディスカッションを行いながらアセスメントし、講師からさらに助言を受けることで、予測を立てることの難しさと奥深さを知る有意義な学習となりました。
今回の学びを活かし、今後の共通科目実習に取り組んでいきたいと思います。
2024年5月
いよいよ第2期生がスタートです!
令和6年度 看護師特定行為研修の開講式を、5月1日(水)に執り行いました。
今年度は、近隣施設から5名の受講生を迎え、第2期生として総勢11名の受講生が研修をスタートします。
牧野人財育成センター長、上野看護部長より、「特定行為の実践だけではなく、チーム医療の中心となってリーダーシップをとっていただきたい」との熱い期待が寄せられました。
当院の特定行為研修は、今年度より新たに「ろう孔管理関連」「創傷管理関連」の2区分を追加し、13区分27行為の習得が可能になりました。
開講式を迎えた受講生の表情には、緊張の中にも研修への意欲が伺え、約1年にわたり講義や実習を進めていきます。
大変な中でも充実した研修になるように、私たち研修担当者もしっかりサポートしていきます!
2024年4月
輝く未来への新たなスタート!~第1回修了式の風景~
看護師特定行為研修 第1期生の修了式を4月17日に執り行い、6名の特定看護師が誕生しました!
当院は、令和5年2月に指定研修機関の認定を受け、4月より研修を開始しました。
特定行為研修は、看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修です。
修了生は、1年にわたるeラーニング・演習・試験・実習を通して、自己の課題に向き合い多くのことを学びました。
修了証書の授与後、牧野人財育成センター長、上野看護部長より修了生の今後の活躍を期待する言葉が贈られ、修了生からは所属看護師長・スタッフ・指導に携わってくださった院内外の先生方への感謝の気持ちと、これからの活動を見据えた力強い抱負が述べられました。
当院は、院内のみならず地域医療を支えるための専門的な知識や技術を兼ね備えた看護師の育成に、引き続き取り組んでまいります。
2024年2月
臨地実習③
旧CCUのベテラン西原看護師が臨地実習を受ける姿です。
既に重症系ユニットで経験豊富なため、特定行為もスムーズにこなしてくれています。
同僚達も特定行為に興味津々で、自然と西原看護師の周りに集まり教育にも熱が入っています。
臨地実習④
HCU所属の三石看護師がICUで1週間実習しました。
既に集中ケア認定看護師として病棟では指導的立場にある三石看護師ですが、今回の実習では特定行為を通じて医師の視点や考え方を学ぶことができたようでした。
HCUは忙しい病棟であり、同僚からも大きな期待を背負っています。
臨地実習⑤ 抗菌薬について学ぶ
1月から院内各所で行われている臨地実習も佳境に入っています。
当院の特定行為研修では「感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与」という区分の研修も受講できます。
この区分では、抗菌薬の臨時の投与を行うための基礎を学習します。本日は、感染症科医長である阪本医師から、「グラム染色」を用いた原因菌の推定と抗菌薬の選択についてレクチャーを受けました。
受講する看護師は皆、抗菌薬に関する内容に苦手意識を持っていたため、レクチャーの直後に細菌検査室で実際に顕微鏡を供覧することができたことは大きな収穫でした。
このように、当院の特定行為研修は、各分野の専門家から全面的にバックアップをいただきつつ、進めています。
2024年1月
臨地実習①
1月から特定行為研修第1期生の臨地実習が院内各部署で始まりました。
ICUには研修生が1週間ずつローテートしてきており、特定行為に関して多くの症例に対応していらっしゃいます。院内ではそれだけニーズが多いということになりますが、研修では多くのことを学んでいただき 4月からは各部署で大いに活躍して欲しいと期待しています。
臨地実習②
ICU所属の高橋看護師が臨地実習を受ける姿です。
元々、手先が器用なことは知っていましたが、動脈穿刺・動脈カテーテル挿入を次々とこなしてゆく姿は何とも心強い限りです。
また、人工呼吸器や輸液の調整などについても、なぜ変更するのかをしっかり病態生理から考えて行動する姿勢に、医師達は新鮮な刺激を受ける毎日です。
2023年度 特定行為研修
2023年12月
OSCE(客観的臨床能力試験)
2023年度から始まった墨東特定行為研修もいよいよ佳境を迎え、今週は第1期生7名がOSCE(客観的臨床能力試験)に望みました。
初日は湘南鎌倉総合病院の神尾直先生、2日目は横須賀市立うわまち病院の鶴井亮扶特定看護師、3日目は東京ベイ市川浦安医療センターの則末泰博先生をお招きしてそれぞれ動脈ライン確保、PICCライン挿入、気管チューブ調整を行いました。
当院では既に看護師として経験豊富な研修生達もOSCE中は一様に緊張の面持ちでしたが、学習してきた内容を最後までしっかりと実践することができました。外部講師からも多くの役に立つフィードバックを頂き、充実した3日間となりました。
来年1月からはいよいよベッドサイドでの臨地実習が始まります。引き続き、院内外の皆様からの変わらぬ温かいサポートをどうぞよろしくお願いいたします。